日本の起業数は、主要先進国と比べて少ないことが現状です。
起業数をあげるためには推移をしっかりと確認し、副業から始めるなどスモールステップで行動することが重要です。
今回は、日本の起業数の推移から起業人数が少ない理由と、取り組むべきことを解説します。
日本の起業数の推移と現状
日本の起業数の推移と現状を簡潔にまとめると、以下のとおりです。
- 2020年の開業率は、廃業率を上回っている
- 開業率は主要国に比べて低い
- 2020年5月以降の倒産・廃業率は、横ばい・減少傾向
- 開業率が高い国は、GDPの成長率が高い傾向にある
具体的な数値や動向の詳細を説明します。
開業率は先進国より低い
2020年の開業件数は118,999件で、廃業の57,471件を上回りました。
1997年以降、開業率が廃業率を上回っていて増加傾向にありますが、他の主要先進国よりも低いことが現状です。
主要先進国 | 開業率 |
イギリス | 13%程度 |
アメリカ | 8%程度 |
日本 | 4%程度 |
引用:第3章 ポストコロナに向けた企業活動の活性化と課題(第2節)|内閣府
日本の起業数は、海外に比べたら非常に少ないことがわかりました。
起業数が少ない理由としては、主要先進国に比べて「起業に関して無関心」である割合が高いことが挙げられます。
また、イギリスが会社の設立費用が0円であることに対し、日本では起業にかかる費用やコストが高くなることも、開業率が少ない要因のひとつと言えるでしょう。
しかし、開業の割合は増加傾向にあります。
起業者向けのサポート体制が整ってきていて、セミナーや交流会の開催が増えていることが背景にあるからだと考えられます。
倒産・廃業は減少傾向
2020年5月以降の倒産・廃業率は、横ばいもしくは減少傾向でした。
新型コロナウイルスの影響で企業収益が悪化しても、倒産件数が少なかった理由は、政府の金融政策が背景にあります。
日本政府は休業支援金・給付金、実質無利子・無担保融資といった金融政策を行った結果、倒産・廃業のリスクを減少させることに成功しました。
また主要先進国と比べると、廃業率が1.5%と低いこともわかりました。
開業コストが高いゆえに、長期間かけて準備や自己資金を貯める必要があるため、簡単に廃業に踏み切れないことが背景にあると考えられます。
起業数があがると経済成長(GDP)も上昇
内閣府が調査した開業率とGDPの関係で見てみると、開業率が高い国は、GDPの成長率が増加傾向にあることがわかりました。
また、廃業率とGDP成長率の関係はみられませんでした。
したがって、開業と経済成長にはプラスの関係があることが考えられます。
起業数が増加していくと、その産業の技術力向上や新たな発想の創出が見込めます。
日本人の場合、起業への興味が薄い方も多いというデータも出ているため、まずは起業のことを知ってもらって意識をさせる働きかけが必要です。
中小企業庁が「起業家教育支援」を取り入れている
起業家教育支援とは、若年層や自治体に向けて開業率向上と、起業家に必要なマインドを育成するための教育制度です。
全20時間の起業家育成支援は、自治体と高校の10か所で行われました。
教育で表れた効果は、以下のとおりです。
- 仕事のイメージが明確になった
- 起業家マインドについて考えるきっかけになった
- 起業を少し考えるようになった
- 起業に対するイメージがポジティブになった
教育によって起業意識が高まったことから、起業数の増加に貢献できることが期待されます。
起業する人の数が少ない3つの理由
起業する人の数が少ない3つの理由として、以下の内容があります。
- 起業が身近に感じにくい
- 生活が不安定になりたくない
- 失敗したときの救済制度が少ない
身近に起業している人のロールモデルがいなかったり、生活が不安定になることを懸念していることが挙げられます。
それぞれ具体的に説明します。
1.起業教育が不十分で身近に感じにくい
日本は先進国に比べて起業家と接する機会が少ないため、身近な存在として感じにくいです。
「起業家」と聞くと遠い存在だったり、雲の上の人のイメージを持ったりする人もいます。
起業家との接点を持たせることで、起業に対して特別感が少なくなり、身近なものと感じるようになるでしょう。
2.生活が不安定になりたくない
主要国に比べて日本人は安定志向を持っている方が多い傾向にあり、生活が不安定になるようなリスクを避けたい傾向があります。
昨今の社会的不況によって挑戦する意欲が持ちづらく、働くことのポジティブな印象を抱きづらくなっています。安定した生活を保ちつつ将来起業をしたい場合は、副業や週末起業から始めてみるとよいでしょう。
3.失敗したときの救済制度が少ない
起業に失敗した時の救済制度が少なく、再起が難しいことが理由にあります。
就職するか再起業するかが選択肢としてありますが、安定した制度が確立していないため「失敗したら終わり」と感じている人が多いでしょう。
しかし起業に失敗したあとでも「再挑戦資金」を活用してチャレンジする方法もあります。
以下の記事でくわしく解説しているため、知りたい方は参考にしてみてください。
推移から見る起業増加に必要な3つの取り組み
日本の起業数を少しでも増加させるためには、以下の取り組みが必要です。
- 起業マイナスイメージを払拭する
- 起業後の資金調達方法を理解する
- 副業から取り組んでみる
どのようなことをしたらよいか、それぞれ見ていきましょう。
1.起業のマイナスイメージを払拭する
メディアなどの影響により、起業に対してハイリスク・ハイリターンなイメージを持たれる方が多い傾向にあります。
「失敗すると多額の借金を抱えることになる」という極端な例が浸透し、現実が伝わっていないことが要因です。
費用をかけずに、自宅で起業している方が成功している現状を社会全体で伝えていくことが必要でしょう。
2.起業の資金調達方法を理解する
起業の資金調達方法を理解しておくことで、本格的に稼働した際に困らずに済みます。
起業家が資金調達するためには、以下の方法があります。
- 銀行の融資
- 補助金や助成金
- 出資
- クラウドファンディング
資金を調達する前に、事業計画書をしっかりと立てることが必要です。
以下の記事でも、資金調達方法について解説しているため、興味のある方は参考にしてみてください。
3.副業から取り組んでみる
起業をノーリスクで始めたい場合は、副業から取り組んでみましょう。
副業は立派なビジネスとして成立するため、起業家の目線が持てるようになります。
本業の収入があるため、今やっている事業が合わなかったとしても資金が尽きることなく、興味のある事業に挑戦しやすくなります。
収入が増えて、すぐに方向転換ができることが強みなので、挑戦してみてください。
起業数の推移を確認して動き出してみよう
日本の起業数は低いという結果が出ましたが、年々開業率が上がっていることがわかりました。
まずはリスクの少ない副業から始めてみることで、日本の起業数増加につながるでしょう。
以下の記事では、安心・安全に起業で自由を手に入れる方法を紹介します。
事業を成功させるために動き出したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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