「起業と個人事業主って似てるけど違いって何?」
「法人化するタイミングっていつ?」
「自分に合ったスタイルで起業したい!」
こんな思いを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、将来安定した事業を展開したいと思っていても、起業か個人事業主のどちらがよいのか迷ってしまいますよね。
当記事では、起業と個人事業主の違いと、法人化のタイミングについて詳しく解説します。
起業と個人事業主の違い5つ
起業と個人事業主の違いは、以下の5つになります。
- 開業手続きのやり方
- 事業開始までにかかる費用
- 経費の種類
- 社会的信用度
- 責任の取り方
違いをきちんと理解し、自身がどのような形で事業を展開していきたいかを検討しましょう。
違い1.開業手続きのやり方
起業と個人事業主は、開業手続きのやり方が異なります。
法人として起業する際は、会社設立のために書類や会社印の用意が必要です。
一方、個人事業主の場合は、事業開始1か月以内に「開業届」を提出すれば事業が始められます。
事業をすぐに始めたい方は、開業手続きがシンプルな個人事業主の方がよいでしょう。
起業したいけど金銭面で悩んでいる場合の対処法は、こちらの記事でも解説しているため参考にしてみてください。
違い2.事業開始までにかかる費用
事業開始までに費用がかかるかどうかが異なります。
法人で会社を設立する場合、設立登記や定款作成が必要です。
かかる費用は以下のとおりです。
- 定款印紙代…40,000円
- 公証人への定款認証手数料…52,000円(謄本取得代約2,000円)
- 法人印…約10,000円
- 登録免許税…株式会社:約20万円、合同会社:約5~10万円
そのほかに、銀行口座開設や資本金、社会保険料がかかってきます。
一方個人事業主は、開業費用はかからず必要書類を国税庁からダウンロード可能です。
違い3.経費の種類
経費の種類にも違いがあります。
法人として起業したほうが、個人事業主より、経費として認められる項目の幅が広くなります。
例えば、起業は事業にかかる費用だけではなく、自分の給与や退職金も経費として計上可能です。
一方、個人事業主は事業にかかる費用は計上できますが、自分の給与や生命保険料は経費として認められません。
そのため家事按分という考え方で、経費とプライベートな出費はきちんと区別する必要があります。
例えば、パソコンを購入して仕事とプライベートの両方で使用すると、一部のみが経費になります。
家事按分には法的ルールが定められていませんが、税務署から説明を求められたときに答えられるようにしておくことが重要です。
違い4.社会的信用度
起業は新規契約や融資の際に信用されやすく、取引できる幅が広がるのがメリットです。
しかし個人事業主は、収入や社会的信用も不安定になります。
例えば、事業用のクレジットカードを作成する際に、確定申告書など収入が証明できるものが無いと、カードが作成できなかったり、限度額が最低限にされてしまう可能性もあります。
30代主婦の方は独立後にカードを作ろうと思い問い合わせしたところ、限度額10万円程度しか対応ができないと言われてしまいました。その後、個人事業主でも対応できるカード会社を再調査したそうです。
社会的信用度を高めるためには、事業用のクレジットカードなどを会社員のうちから作成し、所得の証明となる確定申告の控えを残しておきましょう。
違い5.責任の取り方
起業をした場合は、有限責任になります。
事業主本人がすべての責任を負う必要はなく、責任の上限が出資金の範囲内になるため、リスクを最小限にとどめられます。
しかし、会社をひとりで経営している場合は、個人事業主と同じ無限責任になると覚えておきましょう。
一方、個人事業主は無限責任となり、事業の責任を全て自分で負うことが必要です。
また、仕入れ先の未払い金や、滞納した税金などを個人で負担します。
例えば取引先から報酬が未払いであった場合、請求日と振込期限を事業主側が設定し、対応の依頼が必要です。
起業する事業の規模により責任範囲が異なるため検討したうえで起業か、個人事業主かを選びましょう。
起業と個人事業主の違い【利益編】
ここでは、起業と個人事業主の違いを利益の観点で解説します。
法人化して起業する場合、事業を安定させて売り上げが1000万円を超えたときに行うとよいです。
一方、個人事業主は、事業儲けが出るほど税金が高くなります。
起業と個人事業主にわけて、それぞれ見ていきましょう。
起業
起業とは、お金を払ってでもユーザーが解決したいことに注目して、サービスや製品を生み出すことです。
例えばWebライターの場合、クライアントから「ユーザーが行動したくなるような記事執筆」を依頼され、「記事」という製品を作り出しています。
したがって記事を納品した時点で「Webライターとして起業した」ことになるため、起業は簡単に挑戦できます。
ただし、ひとくちに「起業」といっても、法人と個人事業主では税務処理等が大きく異なります。
具体的に見ていきましょう。
個人事業主か法人にするかを選ぶ必要がある
起業は、個人事業主か会社を作って事業を行うかを選ぶ必要があります。
個人事業主の方が税務処理が簡単ですが、社会的信用が得にくいため、取引先獲得では不利になります。
もし事業の売上が1,000万円以上見込める場合は、法人を選ぶことをおすすめします。
個人事業主から法人化を目指すことも可能なため、事業を始めるタイミングで迷ったら個人事業主から始めるとよいでしょう。
法人化は事業を安定させて売り上げが1000万円を超えた時に行う
法人化のタイミングを検討する際は、利益と売上額を確認しましょう。
- 課税所得が500万
- 2年前の売上が1000万円越え
- 前年の前半の売上が1000万円越え
売り上げが1000万円を超えたときに法人化するとよいとされています。
2年間の売上が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が生じるからです。
また2年前の売上が1,000万円以下であっても、前年の前半6か月の売上と人件費が1,000万円を超えた場合も、消費税の納税義務が発生します。
しかし、人によって法人化のベストなタイミングは異なるので専門家と相談して決めるようにしましょう。
役員報酬を家族に支払うと所得が分散する
家族を役員にすることで、所得税の節税が可能です。
事業主が受け取る予定だった額を家族である役員に分散して払えば、1人あたりの所得を減らせます。
例えば事業主が720万円の役員登記した配偶者で分配して、それぞれの年収を360万円にした場合、所得税は約34万円です。
つまり配偶者の分と合わせても約68万円になるため、大幅に所得税が減らせます。
個人事業主
個人事業主は、法人を設立せず個人で事業を行う人です。
またフリーランスも個人事業主の一種で、多様化する働き方として注目されています。
事業を開始するためには、開業届の提出が必要です。
税務署に開業届を出す必要がある
開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類で「個人事業の開業・廃業等届出書」を指します。
個人事業主は所轄の税務署に開業届の提出が必要ですが、会計ソフトを利用することで行く手間が省けます。
起業のように法務局に登記する手間はかからず、お金もかかりません。
開業届を出すメリットは、節税効果が高い青色申告を利用して確定申告ができることです。
また屋号名義で銀行口座を開設できたり、職業の証明にもなります。
事業にかかる費用が経費として計上できる
個人事業主は、事業にかかる費用が経費として計上できます。
その年から得た収入から差し引きができ、確定申告の際に経費計上を行うことで、課税対象となる所得金額がおさえられ節税になります。
個人事業主が経費にできるものは以下のとおりです。
- 事業で使うためのパソコン
- 出張に必要な宿泊費や交通費
- 取引先との会食費
ただし事業主の給料や年金、保険料は経費として計上できないため注意してください。
もうけが出るほど税金が高くなる
個人事業主は、税金の申告や納税は自分で納める必要があります。
累進課税制度が適用され、儲けが高くなればなるほど税金が高くなります。
所得税が45%を超える場合もあるため、利益が出たときはかえって不利になることがあると覚えておきましょう。
所得税の税率や控除額は、以下のようになります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円から 329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
330万円から694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円から899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円から1799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
18,00万円から3,999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
ただし1年の利益が赤字だった場合は、所得税や住民税はかかりません。
起業と個人事業主の違いを理解して自分に合った事業をしよう
今回の記事では、起業と個人事業主の違いと、法人化のタイミングについてお伝えしてきました。
特に経費の種類や税金の仕組みなど、金銭に関わる違いの理解が大切です。
起業と個人事業主の理解を把握し、自分に合った事業選択をしましょう。
たとえば、ライターなどの受託業を最初のコアにして自身の時間をフルに使えるようにしてから、自社事業にフルコミット。こんな風に誰かの手伝いをしながら、自由にやりたいことに投資すれば徐々に事業は発展していくでしょう。
もし気になる方がいたら、安心・安全に起業で自由を手に入れる方法を以下の記事でお伝えします。
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